無から出て、無に帰す。
無に帰して、無から出る。
音は消えゆく。
音は立ち上がる。
「沈黙という
ものはない。何かが音をたてながら
つねに起こっている。
いったん本当に聴き始めたら
誰も考えることなどできない。
これは非常に単純だが、きわめて急を要することだ
つぎにどうなるかは神のみぞ
知る」
ジョン・ケージ(1957)
音楽家が演奏を始める。
音を出す行為は、音を開始してから持続することにふつう注目がいく。リスナーは音の開始と変遷に注目をする。楽譜は、音の開始点と持続する長さを指定する。
しかし音楽家の技巧と個性がどこに顕著にあるのか?...